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生きちゃった

Introduction & Story イントロダクション&ストーリー

石井裕也監督、渾身のオリジナル最新作にして原点回帰― 愛と衝動と魂だけで映画を作る

若くして日本映画界を牽引する石井裕也監督の待望の最新作が、観る者すべての魂を激しく震わせる。
商業映画デビュー作『川の底からこんにちは』で第53回ブルーリボン賞の監督賞を史上最年少で受賞。『舟を編む』では第37回日本アカデミー賞最優秀作品賞はじめ6部門制覇、そして第86回アカデミー賞外国語映画部門の日本代表作品にやはり史上最年少で選出。『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』では第91回キネマ旬報ベスト・テン第1位など、数多くの映画賞を席巻。他にも『ぼくたちの家族』『バンクーバーの朝日』『町田くんの世界』といった多彩な作品群を手掛け、国内外で突出した評価を得る。

こういった華麗な経歴も、『生きちゃった』の前では不要かもしれない。石井裕也は新たな場所に飛んだ。今回は自らプロデューサーも兼ね、瑞々しい初期衝動が全力で爆発する。“再デビュー作”とでも呼ぶにふさわしい勇猛果敢な挑戦だ。

忖度も制約も無し、完全なる自由の中で作った映画。

そもそも本作は企画の成り立ちから日本映画の枠組みを超えたものだ。2019年6月、上海国際映画祭にて「B2B(Back to Basics)A Love Supreme」=「原点回帰、至上の愛」というまったく新しい試みのプロジェクトが発表された。香港国際映画祭(HKIFFS)と中国のHeaven Picturesが共同出資し、各映画製作者に同じ予算が割り当てられ、「至上の愛」をテーマに映画製作の「原点回帰」を探求するというコンセプトのもと、アジアの名だたる監督たちが各々映画作りを行う。
この斬新かつ先鋭的な映画制作プロジェクトに参加した監督は計6名。台湾の名匠ツァイ・ミンリャン監督(『愛情萬歳』『河』『西瓜』『楽日』)、韓国系中国人のチャン・リュル監督(『キムチを売る女』)、中国のヤン・ジン監督『ホメられないかも』)、マレーシアのタン・チュイムイ監督(『Love Conquers All』)、香港のフィリップ・ユン監督(『九龍猟奇殺人事件』)、そして日本の石井裕也監督。

こうして生誕した映画『生きちゃった』は「All the Things We Never Said」という英語タイトルで、中国及び香港、台湾、マカオなど、世界各国の劇場で公開予定。アジアや海外、グローバル化する世界の中で日本や日本人を見据え、石井裕也は自分たちにしか描けない人間賛歌をスタッフ&キャストと共に目指した。こうして紡がれた破格のエモーショナルな熱量が、衝撃のラストで最高潮に達する。

キャストには「本気」で戦う覚悟を持つ俳優だけが集まった。石井監督いわく「信頼できる仲間」のみ。

主演の厚久役を務めるのは、仲野太賀。
映画、舞台、テレビドラマなど出演オファーが相次ぎ、インディペンデントから大作にまで幅広く出演する現在最も引っ張りだこの役者。彼にとって石井裕也という監督は特別な存在だという。今回は『町田くんの世界』に続いての石井組。ある種、日本人の在り方を象徴する慎ましく不器用な夫にして、父親にして、息子でもある寡黙で純粋な男を演じ切った。その余りに純度の高い芝居は石井ワールドと独自の化学反応を起こし、これまで誰も見ることのなかった仲野太賀がスクリーンを埋める。自身も「生涯大切にしたい作品」とのコメントを出すほど、本作への想いは熱い。

共演の妻・奈津美役には、大島優子。
ご存じ元AKB48のトップアイドルにして、いまや連続テレビ小説『スカーレット』など最もその実力に期待が掛かる女優。今回は苦界を彷徨うヒロインの色香と情念、殺気、母としての強さなど、女性の宿業のすべてを芝居に凝縮するような凄みを見せる。鋭敏な感性と骨太な佇まいで臨んだ初の石井組。これは体当たりを超え、監督と女優の斬り合いを思わせる壮絶さだ。彼女自身も初めての経験だったというほど“裸”に剥かれた演技の生々しい迫真性には、誰もが圧倒されるに違いない。

そして親友・武田役には、若葉竜也。
唯一無二の存在感と比類なき演技力。『葛城事件』や『愛がなんだ』などで注目を集め、いま映画人から最も信頼される若き名優。仲野とは2017年の『南瓜とマヨネーズ』以来の共演となる。大島と同じく初めての石井組となった今回は、監督から「果たし状」をもらった気分だったと語る彼。厚久の共鳴者として苦悩や絶望に寄り添い、“受け”に徹しながらも、親友の胸の内に溜まった感情をぐいっと引き出そうとする。この難しい役を驚くべき繊細さと聡明さで演じ、作品の要としての重要な役割を果たした。

この三人をめぐり、毎熊克哉、嶋田久作、伊佐山ひろ子、原日出子らの実力派が脇を固める。また石井監督の盟友にして韓国の俊英監督、パク・ジョンボムが厚久の兄を演じるなど、国際的で多彩なキャストにも注目だ。

自分の気持ちを素直に余すことなく、愛する人に伝えることができたら。

幼馴染の厚久と武田。そして奈津美。学生時代から3人はいつも一緒に過ごしてきた。そして、ふたりの男はひとりの女性を愛した。30歳になった今、厚久と奈津美は結婚し、5歳の娘がいる。ささやかな暮らし、それなりの生活。
だがある日、厚久が会社を早退して家に帰ると、奈津美が見知らぬ男と肌を重ねていた。その日を境に厚久と奈津美、武田の歪んでいた関係が動き出す。そして待ち構えていたのは壮絶な運命だった。

CAST キャスト

  • 仲野太賀(山田厚久)
  • 大島優子(奈津美)
  • 若葉竜也(武田)
  • パク・ジョンボム(山田透)
    パク・ジョンボム(山田透)
  • 毎熊克哉(洋介)
    毎熊克哉(洋介)
  • 太田結乃(山田鈴)
    太田結乃(山田鈴)
  • 嶋田久作(山田十郎)
    嶋田久作(山田十郎)
  • 伊佐山ひろ子(山田花子)
    伊佐山ひろ子(山田花子)
  • 原日出子(奈津美の母・杉田美幸)
    原日出子(奈津美の母・杉田美幸)
  • 鶴見辰吾(田代)
    鶴見辰吾(田代)
  • 北村有起哉(人殺しの男)
    北村有起哉(人殺しの男)
  • 芹澤興人(刑事)
    芹澤興人(刑事)
  • 柳生みゆ(飯村早智子)
    柳生みゆ(飯村早智子)
  • レ・ロマネスク(レ・ロマネスク)
    レ・ロマネスク(レ・ロマネスク)

STAFF スタッフ

石井裕也(脚本・監督・プロデューサー)

1983年生まれ。埼玉県出身。
大阪芸術大学の卒業制作『剥き出しにっぽん』(05)でPFFアワードグランプリを受賞。24歳でアジア・フィルム・アワード第1回エドワード・ヤン記念アジア新人監督大賞を受賞。ロッテルダム国際映画祭や香港国際映画祭では自主映画4本の特集上映が組まれ大きな注目を集めた。商業映画デビューとなった『川の底からこんにちは』(10)がベルリン国際映画祭に正式招待され、モントリオール・ファンタジア映画祭で最優秀作品賞、ブルーリボン監督賞を史上最年少で受賞した。2013年の『舟を編む』では第37回日本アカデミー賞にて、最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞、また米アカデミー賞の外国語映画賞の日本代表に史上最年少で選出される。2014年に公開された『ぼくたちの家族』では、家族の絆を正面から描き、国内外で高い評価を得る。同年、『バンクーバーの朝日』(14)では1930年代のカナダを舞台に、日系移民の苦悩や葛藤を丁寧に描き、日本国内でヒットを記録するとともに、第33回バンクーバー国際映画祭にて観客賞を受賞した。
2017年には、詩人・最果タヒの詩集から物語を生み出し、映画化した『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』を発表。2017年2月に開催された第67回ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品される。その後、第9回TAMA映画賞にて最優秀作品賞の受賞を皮切りに、第39回ヨコハマ映画祭、第32回高崎映画祭、第30回日刊スポーツ映画大賞など多くの映画賞で作品賞や監督賞を受賞し、第91回キネマ旬報ベストテンでは、日本映画ベスト・テン第1位を獲得するなど国内の映画賞を席捲した。また、国外でも第12回アジア・フィルム・アワードで監督賞を受賞するなど国外でも高い評価を得た。
公開待機作に、初めて韓国の映画スタッフとチームを組んで制作された映画『アジアの天使』(2021年公開予定)がある。

【フィルモグラフィー】※劇場公開映画

  • 2005年 剥き出しにっぽん
  • 2006年 反逆次郎の恋
  • 2007年 ガール・スパークス
  • 2007年 ばけもの模様
  • 2009年 君と歩こう
  • 2009年 川の底からこんにちは
  • 2011年 あぜ道のダンディ
  • 2011年 ハラがコレなんで
  • 2013年 舟を編む
  • 2014年 ぼくたちの家族
  • 2014年 バンクーバーの朝日
  • 2017年 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
  • 2018年 乱反射
  • 2019年 町田くんの世界

石井裕也監督

忖度や制約ゼロ、完全なる自由の中で映画を作ったらどうなるのか? 強度の高い傑作になるのか、はたまた独りよがりの映画になるのか。大いに興味が湧き、このプロジェクトを引き受けました。
「作りたい」という衝動と熱が何より大切だと思ったので、脚本は3日間で一気に書いて、信頼している仲間を急いで集めて、やると決めてから2ヶ月でクランクインしました。まるで自主制作映画のように夢中になって撮影しました。おカネも時間もなかったですが、とにかくみんなでフルパワーを出し合って捨て身でこの映画を作りました。出来上がったのは、俳優たちの凄まじい本気と魂が感じられる剥き出しの映画です。

仲野太賀

本当のことが言いづらいこの世界で、懸命に生きる父親を演じました。愛について真っ向から挑んだ、人間回帰の物語です。
若葉竜也さん、そして尊敬する石井裕也監督と共に、胸が張り裂けるような日々を過ごして作った今作が、きっと誰かを勇気づけると信じています。僕自身にとって、生涯大切にしたい映画になりました。

大島優子

この作品を通じて、役に“裸”で向き合うことの大切さを学びました。素直に表現したり、素直に受け止めるということ。とてもシンプルなことでありながら、一番大変なんですけど、自分自身から湧き出たものを自分で信じること、そしてそれらを自分でキャッチして、それを表にきちんと出すということを徹底しました。
撮影現場では、常に苦労はありましたけど、石井監督との信頼関係もありましたし、撮影中、その信頼という名の橋は崩れることは無かったから、監督と繋がりながら剥き出しであり続けるという、私にとって初めての挑戦でした。

若葉竜也

オファーをもらい、台本を開いた時、石井裕也監督からの「果たし状」をもらったような気分でした。
「死ぬ気で来てよ。」って。
「生きちゃった」の台本にはそれだけの気迫があったし、役者の端くれとして「やらない」という選択肢はなかった。
毎日、全シーン、全カット、心血込めてやりました。
そしたら、、すごいラストシーン、撮れちゃった。